「残置物、全部お願いできる?」——不動産会社からの依頼で、最初に確認する3つのこと

不動産会社や管理会社から来る「残置物の撤去、お願いできる?」という依頼。遺品整理や片付けの仕事をしていると、必ず舞い込んでくる案件です。ありがたい仕事ですが、実はこの依頼、受ける前の確認を飛ばすと一番危ない類の仕事でもあります。
確認その1: その物は、誰の物か
残置物というのは「置いていかれた物」であって、「捨てていい物」ではありません。所有権は元の入居者や元の所有者に残っているのが原則です。
賃貸の退去後案件なら、「大家さんが処分していいと言っている」だけでは足りない場面があります。元入居者との間で、残置物の所有権放棄や処分についての合意が取れているか。そこが曖昧なまま作業して、後から「あれは大事な物だった」と言われたら、矢面に立つのは現場に入った私たちです。
- 依頼者(不動産会社・大家)に、処分の根拠を確認する(退去合意書・放棄書・契約条項など)
- 相続がからむ空き家なら、依頼者が処分を決められる立場か(相続人全員の同意か)を確認する
- 確認した内容は、口頭で済ませず記録に残す
「そこまで聞くの?」という空気になることもあります。でも、ここを確認してくれる業者だから安心して任せられる——と評価してくれるのが、いい管理会社です。
確認その2: 「全部処分」の中に、価値のある物はないか
残置物の中には、買取に回せば値段のつく物が普通に混ざっています。家電、工具、貴金属、コレクション品。「全部処分で」と言われた案件でも、うちは仕分けて査定します。
理由は2つあります。1つは、処分費から買取額を差し引けば依頼者への請求が下がること。見積書に「買取相殺」の行があるだけで、他社との差は歴然です。もう1つは、価値のある物を黙って処分(あるいは黙って転売)する業者が実際にいて、業界全体が疑いの目で見られていることです。仕分けと査定を明細で見せることが、そのまま信頼の証明になります。
ここで効いてくるのが古物商の許可です。残置物の買取をするなら古物営業法の世界に入るので、台帳と本人確認の要件が付いてきます。誰から買い取ったことになるのか(元入居者か、所有権を引き受けた大家か)は案件によって違うので、整理してから値段を付けましょう。
確認その3: 報告書は誰が、何のために見るのか
残置物案件の発注元は、現場に来ないことがほとんどです。管理会社の担当者は、オーナーへの説明責任を負ったまま、現場を見ずに私たちへ任せている。つまり私たちの報告書が、そのまま担当者の報告書になるわけです。
- 作業前・作業後の写真(同じアングルで)
- 仕分けの内訳: 処分した物・買い取った物・保管した物
- 処分費と買取額が分かる精算明細
これが揃った報告書を毎回出していると、次の案件は相見積なしで来るようになります。管理会社は「安い業者」より「オーナーに説明しやすい業者」を選ぶからです。
一件の流れを仕組みにする
残置物案件は、受付→現地確認→見積(買取相殺)→合意の記録→作業→写真報告→精算、という流れが毎回同じです。毎回同じなのに毎回手作業で書類を作っているなら、そこは仕組みにできます。うちは受付から報告書までを一つのシステムで通していて、現場で撮った写真がそのまま報告書に並びます。管理会社の担当者から「報告が早い」と言われる理由の大半は、腕ではなく段取りです。
※ 本稿は実務者の経験に基づく一般的な整理です。残置物の所有権・処分の可否は契約内容や個別事情により異なります。判断に迷う案件は、依頼者側の弁護士・管理会社の顧問等にご確認ください。
ワザグラは、遺品整理・買取の現場を自分でやってきた人間が作っている業務クラウドです。現場のスマホで見積・買取相殺・作業報告書まで完結します。